アナンムシオイガイ

「アナンムシオイガイ」は、2013年に新種となったカタツムリ。世界中で、徳島県阿南市の加茂谷地域でしか見つかっていない、とてもめずらしい種類です。

動くアナンムシオイ

アナンムシオイガイは、貝殻に小さな虫が乗っているように見える、「虫様管(ちゅうようかん)」を持っています。これを持つのが”ムシオイガイ”というグループの特徴です。つまり、「アナンムシオイガイ」という名前は、阿南市で見つかった、ムシオイガイの仲間であることを意味します。

殻上から(白線は1ミリ)

貝殻の大きさはわずか3ミリほど。普段見かけるカタツムリよりもずいぶんと小さいですが、アナンムシオイガイはこのサイズがれっきとした大人です。一円玉と並べると、小ささが際立ちます。

一円玉とカタツムリ

アナンムシオイガイは、実は1970年代にすでに発見されていました。しかし、その当時はよく似た「クチキレムシオイガイ」と同じ種だと判断されてしまい、新種にはなりませんでした。

アナンムシオイガイを再発見したのが、阿南市在住の河野光さんです。2005年に発見された標本が香川県在住の矢野重文さんに届けられ、もしかすると新種ではないか?という疑いがかけられました。

そこから、研究グループが立ち上がり、このカタツムリを詳しく調べることになりました。貝殻のさまざまな部分を観察したり、測定したりし、これまでに見つかっていた種とは別の種だと分かりました。

アナンムシオイガイ

アナンムシオイガイは、加茂谷地域の中でも、「石灰岩地」にしか生息していません。石灰岩地とは、”石灰岩”と呼ばれる白い岩石(元々はサンゴや貝殻などが海の底に積もってできたもの)がある場所のことです。こうした場所の木々に覆われて、地面には落ち葉が積もるようなところにひっそりと暮らしています。

<加茂谷のカタツムリ>

【ケショウマイマイ】

ケショウマイマイ

殻が白く、つやつやとして美しいカタツムリ。徳島県の石灰岩地帯にしかいないのですが、その中でも最初に見つかったのが加茂谷地域です。石灰岩にくっついていたり、木に登ったりしています。

【デールギセル】

昔のたばこを吸う道具、「キセル」に似たカタツムリの仲間が”キセルガイ科”です。この中でも、特に細長い貝殻を持っています。ケショウマイマイと同じく、徳島県の石灰岩地域の固有種で、最初に見つかったのは太龍寺山です。

【モリサキオオベソマイマイ】

モリサキオオベソマイマイ

殻表面にうろこのような細かい毛がびっしりと生えているカタツムリ。アナンムシオイガイと同様に加茂谷地域にしか生息していない、めったに見つからない希少な種類です。

【クチキレムシオイガイ】

クチキレムシオイガイ

アナンムシオイガイによく似たカタツムリで、落ち葉の下や石の間に生息しています。

【ヒラオオケマイマイ】

ヒラオオケマイマイ

平べったい貝殻で、縁の部分に毛が生えたカタツムリ。実はこの毛は、貝殻を覆う膜が毛のように変化したものです。老生すると徐々に毛が抜け落ちてしまいます。